ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん

©︎ Sacrebleu Productions / Maybe Movies / 2 Minutes / France3 Cinema / Norlum

第23回 アニメーション部門 優秀賞

ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん

劇場アニメーション

レミ・シャイエ [フランス]

作品概要

フランス・デンマーク合作の長編アニメーション作品。主人公は19世紀のロシア・サンクトペテルブルグに暮らす貴族の子女、サーシャ。サーシャの祖父は、1年前に北極航路の探検に出たまま帰って来ず、捜索も打ち切られてしまう。祖父と家族の名誉が失われるなか、サーシャの父は王子に気に入ってもらおうと、娘を社交界に送り出す。しかし、サーシャは祖父の部屋で見つけた航路のメモを手がかりに、新たな捜索船を出してほしいと王子に嘆願、王子と父の不興を買ってしまう。サーシャはついに決心し、自ら祖父の居場所を突き止めるべく北極点(地球のてっぺん)を目指して冒険に出発する。苦難を乗り越える登場人物たちの感情や葛藤を、かつての日本の劇場アニメーションを彷彿とさせるシンプルな画風と、生き生きとした動きで描いた。輪郭線のない絵本のような独特のビジュアルも印象に残る詩情あふれるアニメーション。

贈賞理由

シンプルな構成でつくられたキャラクターと背景に、とてもひきつけられた作品だった。かと言ってリアルでない訳ではなく、キチンと整理してあるということなのだ。人物の数と配置も適正に計算してあるので、場所が変化しても観客が状況を見失うこともない。まったくもって「見事」と言うしかなかった。特に後半の氷原における空間の表現は圧巻だった。比較対象のない場所で奥行きを感じさせるのはとても難しい。ましてやシンプルな質感で、よくこんなに場の空気感を出せるものだ。レイアウトもさるものながら、色使いがとても素晴らしく、同業者として軽い嫉妬を覚えた。前半のサンクトペテルブルクの街並みもとてもキレイだ。気になる点がなかったわけではないが、見ているあいだは気にさせない力強さを持った作品である。アニメ関係者としても学ぶところが多かった。ぜひご覧あれ。(宇田 鋼之介)